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エスプレッソマシンの歴史
                
〜Love Cappuccino

エスプレッソマシーン、エスプレッソマシンのラブカプチーノ
 1901年にベゼラが考案し、1905年にパボーニが世に送り出した機械は、客の求めに応じて一杯ずつコーヒーを抽出する方式で一世を風靡しました。

 その意味では、エスプレッソの語源が「
特別に、あなたのために」を意味するという説には十分な根拠があります。

 しかし、カフェ・エスプレッソという単語が「急行、急速」のニュアンスとともに普及していったのも事実です。

 例えばイタリアの Victoria Arduino 社が1922年に作成した有名なポスターには、「LA "VICTORIA ARDUINO" PER CAFFE ESPRESSO(カフェ・エスプレッソには Victoria Arduino を)」という宣伝文句とともに、蒸気機関車の客車デッキから身を乗り出した乗客が同社の機械から抽出されるコーヒーに手を伸ばしている絵が描かれています。

 このポスターは、カフェ・エスプレッソという単語が当時既に一般的になっていたことを示すと同時に、蒸気機関車のイメージを同社のエスプレッソ・マシンのイメージを重ね合わせてアピールしている様子がうかがえます。

 エスプレッソの起源及び語源についてはっきりしない点も残りますが、ここでは、1901年にベゼラが考案し、1905年にパボーニが世に送り出した機械以降を「
エスプレッソマシン」と呼ぶことにします。
エスプレッソマシーン、エスプレッソマシンのラブカプチーノ
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 電動ポンプの実用化により、エスプレッソ・マシンの電子化による自動化が急速に進みました。

 まず、抽出開始と終了の操作はレバー式からスイッチ式に替わり、腕力や微妙な手加減に頼ることなくエスプレッソの抽出が出来るようになりました。次に、抽出を自動終了する機能がついて、マシンの使用者はどのタイミングで抽出を止めるかの判断から解放され、粉をセットしたら「抽出」ボタンを押すだけになりました。

 コーヒーの粉を詰める際の分量と押しつけ具合の加減については手作業のままでしたが、1980年代にはそれらも自動化され、スイッチ一つで自動的にコーヒー豆を挽き、フィルターに粉を詰め、指定された分量を抽出し、使用済みの粉を捨てるという、全自動マシンが実用化されました。一部機種においてはミルクの泡立てまで自動で行い、ボタン一つでカプチーノやカフェラテが注がれるようになりました。

 但し、全自動マシンが一世を風靡した訳ではありません。レバーピストン式のいわゆる手動式マシンも根強い支持を受けていますし、様々なタイプの半自動マシン(抽出の開始と終了は手動で行うマシン、コーヒーの粉のセットは手動で行うマシン、ミルクは手動で泡立てるマシン)が多く用いられています。

 マシンの自動化が進むほど「誰にでも安定したエスプレッソがいれられる」という長所がある反面、「抽出具合の微調整ができない」「バリスタの手並みをアピールできない」「個々の客の好みに応じられない」という短所があります。更に「マシンの価格が高く、維持コストも高い」という難点もあります。

 したがって、イタリアのように熟練したバリスタの層が厚く人件費も比較的安い地域では
手動式マシンが重宝され、スイスやドイツのように熟練したバリスタの層が薄く人件費も高い地域では自動式マシンが重宝されるという傾向が生じました。

 イタリアの老舗のスタイルは変わりませんでしたが、エスプレッソ・マシンの自動化が進んだことによって、二つの大きな変化が生じました。

 
一つはエスプレッソ・マシンの家庭への進出です。1960年代以降、電動ポンプの実用化により家庭用のエスプレッソマシンも続々と登場してきました。業務用マシンと異なり小型化と低価格化を重視しているために性能面の制約はありますが、これまでポット式マシンしかなかった台所に、手動式マシンや様々なタイプの半自動式マシンが出現するようになりました。

 もう一つの変化は、エスプレッソの各地域への伝播が始まったことです。エスプレッソ・マシンの自動化が進んだことにより、これまでマシンを操作する熟練したバリスタがいないこともありエスプレッソ・コーヒーの普及していなかった地域にも、エスプレッソが普及する可能性が開かれたのです。
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 イタリア系をはじめ南欧系移民の多いアメリカには、比較的早い時期からエスプレッソも伝わっていたようです。しかし、第二次大戦後もしばらくの間は、エスプレッソを含め南欧の濃いコーヒーに親しんでいたのは一部の人々(イタリア系移民の他、イタリア文化に接していた芸術家、音楽家、大学関係者など)でした。

 当時のアメリカでは家庭にもコーヒーが普及していましたが、缶入りで販売されている浅煎り粗挽きのコーヒーを薄目にいれて気軽に(日本の家庭のお茶のように)飲むのが主流で、また戦争中に軍隊に採用されたこともあってインスタントコーヒーも急速に普及していました。

 深煎りの濃いコーヒーを店頭で味わう飲み方はほとんど知られていなかったのです。
スターバックスの前身として知られている Peet's Coffee(1966年創業)も、西海岸の大学関係者などを対象に深煎りの豆を販売する焙煎業者に過ぎませんでした。

 時々「イタリア系移民は貧しいので安い豆を深煎りにしてごまかして飲んでいた」という俗説も目にしますが、これは当時の一部アメリカ人のイタリア系移民に対する偏見に基づく説です。

 元来イタリアではトルココーヒーの影響もあり深煎りの豆が好まれていました。むしろアメリカの大手メーカーの方に、豆を深煎りにすると目減りしてしまう(販売重量が減って儲けが減る)のを嫌って浅煎りで販売していたという貧しい傾向もありました。Peet's Coffee のような焙煎業者は良質の
アラビカ種の豆を深煎りにして富裕層をも対象に商売をしていました。

 一般のアメリカ人の間にエスプレッソが次第に知られるようになってきたのは60年代から70年代にかけてです。その頃は欧州旅行の人気が高まった時代であり、現地でエスプレッソやカプチーノやカフェラテの味わいを知った客を中心に、アメリカの大都市でも次第に飲まれるようになってきました。

 アメリカでエスプレッソが広まってきた背景として、書物によっては、75年のブラジル大霜害を契機にコーヒーの多様化が図られたとか、80年代に
フレーバーコーヒーが登場してコーヒーの付加価値化が図られたとか、ミルクを入れる飲み方が健康ブームに合致した等の分析がなされていますが、ここでは更に「欧州でエスプレッソ・マシンの自動化が進んだ」ことを挙げたいと思います。熟練したバリスタでなくても一定のレベルでエスプレッソを抽出することのできる自動式マシンの登場により、アメリカでもエスプレッソを出す店舗を比較的容易に出せるようになりました。

 この点に着目し、エスプレッソ店の全米チェーン展開を思い立ったのが、当時調理器具や家庭雑貨のセールスを行っていた
シュルツ(Howard Schultz)氏です。

 自分のアイデアを実現させるため、1982年にシアトルの焙煎業者スターバックス(71年創業)に入社したシュルツ氏は、86年に実験店舗を出店し成功させた後、87年に
スターバックス社を買い取って全米展開を開始しました。

 その後、先発・後発の業者が追随し、北米でのエスプレッソ・ブームが本格化して現在に至っています。

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